ゴーストオブアイデンティティー
「持ってろ。弾は入ってる」


「私、銃は嫌いだわ」

「ペンは剣より強し………か。てめえの考えそうな事だが……下らねえな」

押入れでモーター音が唸り、独りでに開いた。

幸福は手を入れ、何かを取り出した。

オートマチック型ハンドガン、二丁。

デザートイーグルを削り、細長くした様な、特徴のあるハンドガンだった。

それぞれ口径が違い、恐らく右が9mmパラベラム、左が銃口が空いているか、いないか程のもの。1~2mmだろうか。自分なりに改造したのだろう。

幸福はハンドガンのスライドを引き、弾を確かめた後、一瞬で銃を消した。手品みたいだと、桐は思った。


「ペンでは、人を殺せない。其れくらい、分かるはずだ」



それでも、桐は銃に触れなかった。





「私…………人は殺さないわ。撃ちもしない。狙いも、しない。これでもジャーナリストの端くれよ。馬鹿にしないで」

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