ゴーストオブアイデンティティー
「てめえにアイツの何が分かる!?てめえに僕の何が分かる!?僕はアイツでアイツは僕だ。何故、僕がアイツの立場でいなかった?何故アイツが此所に居ない!?…………………………何故僕とアイツが………………此所に一緒に居ない!?」



荒い息で、幸福は言葉をきった。
足元がふらついている。

そして幸福は、倒れた。
派手な音をたてて。

「ち、ちょっと!?」


手を貸そうと桐は差しのべたが、パン、と、はね除けられた。

「いらねえよ」

ふらつきながらも立ち上がった幸福は、枯れ枝みたく脆そうだった。


『幸福、今心拍数が乱れていますが……』


「………その内治まる」

無造作にポケットに手を入れ、また薬を口に放った。

噛み砕き、咽下する。


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