ゴーストオブアイデンティティー
脳髄を焼く、響き渡る名前。

「……あ。大丈夫?鼻血、出てるわよ?」


運命は鼻を触る。ざらついた滑りが、指を濡らした。

赤い。血………

抑えたが止まらず、指の隙間からポタポタと滴り落ち、和服を汚した。


「はいティッシュ…手をどけて」

女は運命の鼻を押さえて止血した。

「粘膜が弱いのかしら。ちょっと動いただけで出血したりするから大変なのよね…目眩は?」

「………目が動く」

眉をひそめ、深刻な表情を女は浮かべる。

「貧血、ね。病院に行って診てもらった方が良いわ。親御さんは、いる?」


「オヤ?」

聞かない響きだ。

「お父さんかお母さん、いるでしょう?まさか1人でこんなところに…………」


「それは、何?」

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