ゴーストオブアイデンティティー
私の幸福に、その存在は組み込まれているのだろうか。

もし幸福が実験に関わっていれば、つまりそれは、私にとって限りなく悪となる。私を陥れた元凶。全凶となるのだ。

恐怖で、憎むべき存在。

憎むべき…存在。




…………………………そうか。


憎むべき存在。











「私は………兄さんを憎んでたのね」


憎悪。捩れてひん曲がった、愛の執着。汚れて穢れて……だがどうしようもなく純粋に私を飲み込むこの愛の衝動。

私は幸福を憎んでいたのだ。


憎悪が屈折して、屈折して、屈折して、愛に辿り着いたのだ。


嗚呼嗚呼嗚呼成程成程理解できた。こんなに私を理解したのは初めてかもしれない。



私は幸福に認められたくて、抱き付きたくて追い求めているのではない。

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