ゴーストオブアイデンティティー
廃墟の夜道を歩く人影一つ。

座敷幸福である。


全身が黒く包まれているため、耽美とも思わせる白い顔が浮かび上がり、生首が徘徊しているようにも見える。


「――――」

ひたすら何かを呟いているが、それは何かの呪文に聞こえる。

若しくは――――数式に。


その呪文は突然止まった。
       ・・
「――――…数十個。材、雑魚。対抗策………殲滅」


笑みが溢れる。その笑みは、苛立ちと苛立ちと苛立ちだった。

「ひい…ふう…みい…よ…」

幸福は数え始めた。

数える間に振り返り、小太刀とも言えるだろうか、細長いナイフと、リボルヴァーの拳銃、極細の糸を取り出した。


そして

「…や…ここのつ…」


時は来た。

「…とお…」


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