ゴーストオブアイデンティティー
『幸福には心があります。だから…母である儚は慕っていました。闇風も、恐らく。だから、3年前の座敷家崩壊のあの事件は、幸福の復讐と言えます』


「………復讐?」

なんて、イヤな響き。

『座敷儚を殺した座敷家への、そして手をかけた座敷古傷への復讐。儚への弔いとも言えますが』


「………え?」

思考が寸断される。復讐。それはなんとか解る。が、儚は幸福に殺されず、古傷に殺された?

幸福が座敷家を崩壊させるために皆殺しにしたのではなかったのか?


『突然ですが、話が戻ります。宜しいですか?』

「え、あ、うん。まあ、いいわ、続けて」


『……もう一度、言いますが、私は美少年によって幸福のために創られ、その美少年は座敷儚とある程度、交流があった。ここまではいいですね?』

「ええ、解るわ」

『美少年は座敷儚の死を知ってから私の制作に取りかかりました。そして、キーワードが幸福に渡されました』


「キーワード?」

『私に注ぎ込まれた「遺産」を開くためのアンチロックコードです。』

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