ゴーストオブアイデンティティー
彼女が世界を変えてくれた。

彼女が桜を変えてくれた。

彼女が世界を教えてくれた。



でも。


世界は彼女を変えなかった。

桜は彼女を変えなかった。

世界は彼女を変えなかった。



桜は…世界は、死から彼女を救えなかった。

救わなかった。


何故なら…座敷だから。

座敷家には関わるべからず。暗黙の了解として世界はそれを守っていた。

異端という名は、やはり異端として区別される。

異端という名は、どう足掻いても異端なのだ。

踏み込む事も、触れる事も、許されない。異端。

そこに儚は踏み込んでしまった。壁。見えない壁。モザイクのかかった映像。


世界は彼女を救わなかった。


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