ゴーストオブアイデンティティー
しかし私はいつからスコッチウイスキーを飲むようになったのだろう…と考えながら後ろを振り返った。






暗忌運命が、立っていた。

驚きのあまり思わず一歩、引き下がる。


運命は瞬きもせず桜を見つめていた。

じっと。じっと。じっと。


「運…命?どうか…したのかな?……あ、ああ起こしてしまったか。悪いね」


慌てて言葉を繕うも、頭は真白だった。

思わず、喉が鳴る。
いつから其所にいたのだろう。

「桜」

運命が口を開いた。桜は膝を折り、運命に目線を合わせた。


「何かな、運命?」


「お母さんて…………何?」


「お母さんて……って、君の母親だよ。暗忌儚の事。前に言ったでしょう?」


しかし運命は横に首を振った。何かが違う言いたい事はそうじゃない。そう言っているように桜は感じた。

< 409 / 503 >

この作品をシェア

pagetop