ゴーストオブアイデンティティー
そしてヤツラにたどり着く。


「さあ始めようぜ、アホ共」


目標の十個に近付く。黒に身を包んだ先頭のヤツは、その声でやっと幸福の存在に気付く。


マスク越しでも顔がひきつっているのが手に取るようにわかる。

そいつが声をあげる前に、幸福はナイフを抜いた。

狙うは、防御が薄い―――足。


防弾が施された靴と装備の隙間を一閃して通り過ぎる。


そいつは何が起こったかも分からず、幸福の方へ体を向ける。


ぐちゃり―――――


生々しい音と共に、両足首が削げ落ちた。

飛び散る血に、絶叫をあげる。男だったらしい。




男の絶叫が引き金となり、残った集団は叫び声と共に散開した。

が。


・・・・
もう遅い


道の両脇にある電信柱に隠れ、マシンガンで反撃を試みる二人。


――当たらない。


踊るように避け、リボルヴァーを二発、扇撃ちで放つ。

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