ゴーストオブアイデンティティー
親友親友とほざいておいて、結局は儚がどういう人間か、解らない自分がいる。

別にそれに対して苛立ちは募らない。解らないものは…解らないのだ。


……否、儚への唯一にして無二の答えが今、浮かんだ。



「彼女は……人間だったよ」


人間。ニンゲン。人。ヒト。


「らしい」なんて中途半端な言葉ではくくれない。

人間らしいじゃない。彼女は、儚は、どこまでも人間だった。

人間の域を超えなかった、人間の域を大事にした、人間。

座敷家に嫁いだからと言って、何かが変わる訳でもなく、何かを変える訳でもなく。

人間だった。ひたすら人間だった。暗忌儚は人間。それがしっくりと来た。


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