ゴーストオブアイデンティティー
運命は「ハコ」から解放された。

もう何も束縛は無い。自由という選択肢を、運命は得た。

座敷家とは無縁の団体に運命を預け、幸福は運命の元を去った。



運命と共に生きる道は、選ばなかった。幸福と運命は二人で一人だが、同じ場所にいてはいけない気がしたからだ。運命もそう感じたらしく、同じ道を選ぶ事はなかった。


何故、そう感じたのか。それは運命にも幸福にも解らない。

ただその時は、そうする事が唯一の救いの様な…そんな「第六感」が働いた、としか言えない。



その時は、だ。



今この様な状況に陥ると、誰が想像しただろう。

生きる事も、死ぬ事も、全て中途半端になってしまった。


結果、表裏の秩序を崩壊させ、倉崎桐を巻き込み、病院での多数の死者、そして……

・・・・・・・
逃亡者の、阻害。



全て、幸福が火種を不始末にしたが故の悲劇。

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