ゴーストオブアイデンティティー
すれ違い様に、誰もが一度振り返る。息を飲む。そしてハッとし、後ろ髪を引かれる様に去っていく。
全身を真紅に染め上げた闇風には、男女問わず異質な程に妖艶に見えた。
そんな「人ゴミ」の中を、幾多の視線を打ち砕く様に闇風は歩く。
人とぶつかりそうにはなるが、ぶつからない。どんな相手でも、例えしかめ面の老人でも、威圧され、よろけて道を避ける。
前に立つ事は許さんと言わんばかりの、圧倒的存在感。
幸福の人混みに紛れる歩き方ではなく、闇風は「人ゴミ」を蹴散らす歩き方。
そこが幸福と闇風の違い。目的の違いでも有るだろう。
「…Shit!!本当、脳髄がとろけそうな位汚ならしい場所ねぇ」
ゴーグルを装着している為、どの様な目で世界を見ているのか、傍目からは判らない。が、唇が苛立ちを紛らわす…否、唇でその嫌気の度合いが手にとる様に判った。何度も噛み千切った痕が付き、血がこびりついていた。
全身を真紅に染め上げた闇風には、男女問わず異質な程に妖艶に見えた。
そんな「人ゴミ」の中を、幾多の視線を打ち砕く様に闇風は歩く。
人とぶつかりそうにはなるが、ぶつからない。どんな相手でも、例えしかめ面の老人でも、威圧され、よろけて道を避ける。
前に立つ事は許さんと言わんばかりの、圧倒的存在感。
幸福の人混みに紛れる歩き方ではなく、闇風は「人ゴミ」を蹴散らす歩き方。
そこが幸福と闇風の違い。目的の違いでも有るだろう。
「…Shit!!本当、脳髄がとろけそうな位汚ならしい場所ねぇ」
ゴーグルを装着している為、どの様な目で世界を見ているのか、傍目からは判らない。が、唇が苛立ちを紛らわす…否、唇でその嫌気の度合いが手にとる様に判った。何度も噛み千切った痕が付き、血がこびりついていた。