ゴーストオブアイデンティティー
「どうもあなたと話していると人と話している感じがするわ」

『光栄な限りです』


桐は苦笑と共にため息をつき、そして、会話を一新させる様に真面目な顔付きに変えた。




「で、ムト。今のは何?誰の八つ当たりかしら。幸福?闇風?」


ムトはしばらくの無言の後、


『闇風、ですね。…恐らく』


「嗚呼そう?あのブラコン娘、また幸福と遊びたいのかしら」



軽い、軽い冗談混じりに呟いた桐の言葉。

それに対するムトの口調は……重苦しかった。


『……………桐』

「何?」

『ここは…トーキョーなんですよ。外れにあるとしても、トーキョーに変わり有りません』


「だから何よ?そんなに危ないの?さっきの揺れは?」


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