ゴーストオブアイデンティティー
『それはご想像にお任せします。その人達が助かるには1分以内に出血を止め、心肺蘇生を行う必要があります。その中に貴女は1人でいるとします。貴女は、どう動きますか?』


「助けるわ」

迷いなく、桐は答える。


『どうやって?』

「止血して、心肺蘇生する」

『誰を最初に?』


「一番近くにいる人よ」



『それは何故ですか?』



「一番助けやすいからよ」


『助けたら次に近い人を助けるのですか?』



「ええそうよ」





『偽善ですね』




桐は、何も言わなかった。思い、浮かばなかった。

< 455 / 503 >

この作品をシェア

pagetop