ゴーストオブアイデンティティー
「人は1人では生きていけないなんて夢見がちな考えなんて、私は棄てたわ。人は所詮は1人よ。こっちの世界を知って思いしったもの。誰かに助けを請うのは、支え合いたいからじゃなくて、その方が生きるのに都合が良いからよ。そうでしょう?助けるのも同じ事よ。自己満足だろうが偽善だろうが関係無いわ。言われたって、だから何って、言えばいいもの。私が目指してるジャーナリストも基本的にはただの自己満足な仕事よ?それの一体、何処が悪いの?」


『…それが答え……ですか』

「ええ。これが私よ。それ以上でも、それ以下でもない。今此所を生きる、私の人生観」



ほんの数日前なら、桐の考え方は違っていただろう。一般的な、極めて「安易」な世間に染まっていて、ジャーナリストは自己満足な職であるという事以外は全く考えなかった。


しかし、今は違う。

座敷幸福と遭った。
座敷闇風と遭った。
暗忌運命と遭った。



銃で撃たれて、ボロボロになって、幸福に助けられて、此所にいる。在る。

何時、死んでもおかしくない。本当に、死んでいない方がおかしい世界に、桐は足を踏み入れたのだ。


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