ゴーストオブアイデンティティー
『頼まれてもらえますか?倉崎桐』


「…分かったわ」

桐は頷いた。

「ただ…一つ条件があるの」


『…私が出来る範囲でお願いします』

「大丈夫。簡単な質問に答えてもらうだけだから」


深呼吸。

そして問う。




「貴女の本当の名は?」

『難しい質問ですね?』


苦笑。した気がした。


しばらくの静寂が訪れる。電灯から発せられるジーッという独特な音が、やけに響く。

桐は幸福がいつも居た部屋の隅で体育座りをした。

人一人分、幸福の座っていた部分が窪んでおり、座るのに丁度良い。


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