ゴーストオブアイデンティティー
女。

先程「ヤナセ」と呼称されていた男と会話をしていた女だ。

            ・・息を殺して、彼女は幸福の狩りの様子を伺っていた。




おぞましい――――



それが彼女の幸福に対する第一印象だった。


予想通りだった。
一対十にも関わらず、幸福は圧倒的大差で勝利した。


否、叩き潰した、か。その存在に、誰も対抗出来なかった。


自分があの中にいたらと思うとゾッとする。一瞬で肉片と化していただろう。


天災児の力を魅せ浸けられた。

おぞましさと同時に、美しさを感じた。

無駄の無い動き、容赦の無さ、何をとっても………美しい。

< 47 / 503 >

この作品をシェア

pagetop