ゴーストオブアイデンティティー
「存在理由の劣等感、か…そう、あなたも結局のところ、人間なのね」


生きている以上、人間である以上、不可避なその現象。

ムトも、結局のところ、人間なのだ。PCという名の人間。機能、形、全て違っていても、とある一つの中身が同じなら、それはきっと人間なのだ。


実際、ムトは何処までも人間くさい。親の様で友達の様で教師の様で、人間の様で。

だから感じるのだ。

ゴーストオブアイデンティティーを。


人間であるが、また、コピー品であるが故の、疼く諸感情。

「私」を「私」と言い切れないその悶え。


しかし、桐には関係無かった。


「そんな事、どうでも良いと思わない?」

『…………え?』


ムトはAIだ。どうしても完璧な答を求めるし、性と言っても過言ではないだろう。

故に。
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