ゴーストオブアイデンティティー
「分かったわ。私の出来る範囲で、ね」

桐は立ち上がった。ふらつきは無い。特に、異常は無い。足も大丈夫だ。


出入口に立つ。

が、

『桐、これを』


ムトの言葉に振り替える。すると、いつの間にか押入れが開いており、中から鈍く黒光りするモノが桐の前に有った。


取り出してみる。途端、桐は眉をひそめた。

「………これ、何?」


『見ての通り、銃器ですが』


小型の、ハンドガン。鉄では無く恐らく強化プラスチックで出来た軽量モデル。

グロックと呼ばれる種のハンドガンだ。一度、見た事がある。


「それは分かってる。どうして渡すの?」

『身を守る唯一の手段ですよ、桐』

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