ゴーストオブアイデンティティー
桐は溜め息をつく。

「私が銃嫌いなの、知らなかった?幸福に撃たれてから更に嫌いになった訳だけど」


『自分の身を守る為ですよ?そこは我慢というものではないですか?』

「って言ってもね…」

試しに持ってみる。見た目の割には、ずしりとした重量感が伝わってくる。

やはり銃だ。人を傷付ける道具だ。それがこの重みに表れている。


好きには、なれなかった。

しかも。

「これで、一体誰から身を守るのよ?闇風?それともまさか幸福?」

幸福達に通じるものか。
どう間違っても、一般人の桐が扱ってどうなるものではない。


『…人間から、ですよ』

ムトの答え。人間。

『灯台もと暗しというものですね、正しく。桐、あなたが一番気を付けなければならない相手は生き残った人間、ですよ。皆が皆、秩序を守れる状況ではないですから』


「…そういう事ね」

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