ゴーストオブアイデンティティー
だから、敵を逃がした事に疑問に思った。

その美しさを持ってして、何故殺意を放棄したのか。


わざと…でもない。みすみす敵を逃すメリットは幸福には無い。


消音が施されたライフルを構える。スコープの先には、乱れた足取りで走って来る、先程幸福が逃がした女が。


嗚呼なんて―――――







「汚らわしい」





シュッという音が、女の頭部を吹き飛ばした。



「彼の美を逃亡なんて汚らわしい行為で終わらせないでよね」





風を切る音と共に女が四散していく。

気が付けばカートリッジが空になっていた。

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