ゴーストオブアイデンティティー
「…脆いもんだな」


幸福が作り上げた世界は、一瞬で塵の中へと消え去っていった。

煙草の吸殻を棄て、踏みにじる。

「所詮世界は……こんなものか」


誰が。
誰の為に。
どれ程の苦労を重ね。
いか程の苦労を無駄にし。

作り上げた世界か。



それを知る唯一の人物、座敷幸福は、密かに、本当に、密かに、ため息をつく。




クダラナイ。




その一言が思考を全て支配する。

求めた世界は、そんなものか

救った世界は、こんなにも、弱小なものか

自分の創った世界は、こんなにも、不完全か、と――――
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