ゴーストオブアイデンティティー
闇風の、闇風に因る、闇風の為の世界…

其所には誰の居場所も無い。運命も、桐も、幸福さえも存在を許されない絶対的な世界。



やがて、幸福は『爆心地』に辿り着いた。

巨大なクレーターと化したかつての道路は、破裂した水道管の水が流れ込み、水溜まりとなっていた。



その中心に、波紋が一つ。

絶える事無く小さな細波が起きている。




幸福は、笑った。唇を歪ませ、まるでひきつった様な笑みを、幸福は顔に浮かべる。


      ・・・
      にたり


と。


  ファントムオブジオペラ
「『偽造世界の開拓者』…か。悪くねぇな。悪くねぇ……が」


細身のハンドガンを抜き、弄びながら、幸福は煙草をくわえ、火を着ける。



「下らねぇ遊びをするなクソガキが」

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