ゴーストオブアイデンティティー
最高の存在が手を伸ばしても届かない世界は、『不可能』の域以外存在しないのだから。


下らない。本当に、どうしようもなく、下らないのだ。



闇風は、幸福へと視線を向けた。

「兄さん、私が惨めに見える?もしそうなら、兄さんが今まで創ってきた事柄も、兄さん自身が客観的に見れば、惨めに見えるんでしょうね。だって……ふふ、兄さんの完璧な世界も仮定でしかなかったんですもの」


完璧な世界。

確かに、それは脆くも崩れ去った。

完璧である事を信じる者が、創造主の幸福が、それを否定したからだ。



…しかし。


「ハッ!てめぇと同類にするな。胸クソ悪い」

幸福は、闇風の言葉を、弾いて棄てた。

「僕は後悔なんざ、仮定なんざ、した事はねぇんだよ」



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