ゴーストオブアイデンティティー
監視カメラやキーロックにもレンズを向ける。

誰かに見られている感覚はこの上無く嫌だったが、手の施しようが無い。我慢するしかなかった。


布が擦れる音。



「起きた?」


運命が目を覚ました。

「桐…お前、死んでない?」


「起きてからの第一声がそれじゃああんまりじゃない?」


まさかそんな事を言われるとは思わなかった。


「桐、死んでない?」


再度の異質な質問に「…生きてるわよ」と疲れた風に返す。


「…そう…」


………からかってるんじゃないわよね?

そう思わざるを得ない。

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