ゴーストオブアイデンティティー
聞いても無駄だろう。はぐらかすような答えしか返って来ないだろう。桐は話の方向を変えた。


「運命。ここは、どこ?」



「……ハコ」





「ハコ?それって…座敷家の邸の事?」

頷く運命。




座敷家邸の異名――――――箱



滅多に蓋は開かない。何が行われているかも知れない。座敷家が住む――――座敷家が閉じ込められている、箱。

ここが?

先程桐が見た座敷家は廃墟だったはずだ。


「あそこは駄目だから。だから、ハコに桐を入れた」


意識を失った後、運命に連れてこられたのか。

よく見れば、肩の部分が汚れている。
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