ゴーストオブアイデンティティー
桐は運命を抱き締めた。


か細く矮小な、その身体を。

包み込む様にして抱き締めた。


「桐?」


訳が解らないといった風な運命に、桐は不意に湧いた涙を流し、ただただ抱き締め、呟く。



流した涙を偽善と呼ぶ。

凄惨さに眉をひそめる。

その不幸を見下す。

たゆたう優越感。

得体の知れないモノを踏みにじる恐怖。

ソレに触れる事に対して増す、津々とした興味。


禁忌。




これ等は皆、桐の中に膨張し続ける最悪で、

罪悪感。

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