ゴーストオブアイデンティティー
住む世界のギャップに酔いしれた、醜態。




だが桐はそれらを全て受け止め、身体中に刻み付けた。







偽善と言われるだろう。


不届き者とも言われるだろう。


自己満足とも、興味本意だけの穢らわしい人間とも、言われるだろう。







でも私は、倉崎桐は、笑んでその言葉を、その振りかざされたナイフを、受け入れる。



全てを受け止めきれないかもしれない。

私は、壊れるかもしれない。

ぼろぼろになって、縫合の余地が無い程千切れるかもしれない。



その痛みも、哀しみも、全て甘んじて受け入れる。



――――――偽善?


結構結構。ジャーナリストは偽善者の仕事だ。



―――――自己満足?



此れも結構。


自己満足すら満たされない事柄が、他人を満足させる事など、出来る訳がない。
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