ゴーストオブアイデンティティー
「桐?どうした?死ぬのか?」


その言葉に深い意味など欠片も無い。単なる、疑問。


「…何でもないわ。そう、何でもないの……。……………運命」


「?」


「こんな事、意味なんて無いのかもしれない。…………………でもね…運命。あなたに言わなきゃいけない事がある」


もっと。

力強く。

もっと、もっと強く。


桐は運命を抱き締めた。





世界は運命を無視してきた。


その世界とは、私であり、その他の人々でもある。

無視というのは…少し違う。


見えなかったのだ。

人々の視線があまりにも真直で、軟弱で。

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