ゴーストオブアイデンティティー
そう、軟弱で。

自分達の信じて疑わない世界は完璧で、隙間など無いと。


座敷家によって造られた舞台で、自分が演じた「ヤラセ」にも近い生き方に心を奪われた、無様で不様で、軟弱な私達。


「座敷家」という死角に目もくれず、陰を無理矢理照らして過ごす私達。


その死角が見えるのが何よりも恐怖で、真直見たフリをして斜めや下を嘗めるように見ていた私達。



罪深い私達。




その愚かしい私達の結果が、暗忌運命。

彼女に全ての「ツケ」が回って来たのだ。


誰一人知らない陰の中に、死角に閉じ込められ、果てしない何かを背負わされたのだ。


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