ゴーストオブアイデンティティー
「…うぜぇ事限りねえのな」


冷えきった明け方の空気を吸い込む。吐き出す度に、吐き気も薄れていく気がした。


もうそろそろ、日が上る頃だ。此の場所にいるのは具合が悪い。移動した方が良い。


そう考え、寄り掛かっていた壁から離れた時の事だった。




「……?」


視界が、歪んだ…気がした。

また、副作用かと思い目を軽くつむり、開ける。


何ともなかった。


…やはり副作用、か。

うぜぇ。


舌打ちをする。




が。






・・・・
ぐにゃり




壁が、よじれた。



火事によって煤汚れた壁がよじれて―――――






ただのブロック塀に―――――


変わった。
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