シャボン玉

~ディナー~

蓮は『金かね』って言った時の表情は、なんかとても暗く、悲しい表情だった。


―カランカラン―

taxiから降りた私の前に、一人の男の人が立っていた。

「いらっしゃいませ。蓮様のお連れでしょうか?」
「そう、だからいつもの頼むよ。」
「はい。」

蓮は常連のようで、なぜか私は黙って蓮とその人の会話を聞いてた。

イスをひかれて、座るとイスを前に出してくれるさっきの人。

蓮もさっきより紳士に見えた。

「あっ、蓮。一つ言っとく。」
「何?どうかした?」
「あんさぁ、明日から学校いくから。」

一つ言っていなかったこの事を蓮に言うべきじゃなかったと今更後悔する。

「マジで?ホントに来てくれんの?ホントに?・・・」

蓮の質問はしつこいし、声が大きい。
「蓮、注目浴びてる。」

そう言った瞬間蓮は黙ってゴホンッっとわざとらしい咳をした。
するとみていた人達が何事もなかったかのように食事を始める。

「…ゴメン。」
「いいよ、蓮ておもしろいし。」

小声でクスクスと私は笑う。
「雅ヒドイ~‼」

でも今はそんな蓮も可笑しくてたまらなかった。
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