狼と赤ずきん。
「荒月!ドアを壊すな。」
先生がやっとの思いで勇気を出し、荒月に言った。
「壊したんじゃねぇーよ。外したんだよ。
後で直しておくから。」
荒月がそういうと先生は黙り込んでしまった。
先生、ドンマイ!
荒月は私の隣のからっぽだった席に座り、
あまり使ってなさそうな新品のバックを乱雑に床に下ろした。
狼が笑っている。
凍りついた教室を見回し、
悪魔のような冷たい目で笑っている。
そして、少し経ってから私のほうを向いた。
ひぃっ!!
私は顔を背けて本に集中しようとした。
しかし、狼は私をずっと見ている。
ギャー!
私は心の中で本当に狼に遭遇したように悲鳴をあげた。
「おいっ!」
狼が私に牙を向けた。
ギャーギャーギャー!
助けて咲~!助けて流本~!食われる~!!