狼と赤ずきん。
私はカチコチになった体を無理やり動かそうとして、
スローモーションのように荒月のほうを震えながら見た。
笑っている。
狼が私を見て笑っている。
あの自己紹介のときの満足げの笑みだ。
「期待通り来てやったぞ。感謝しろ。」
狼はそう言うと面倒くさそうにドアを直し始めた。
私は、その時、時が止まったように固まっていた。
何それ―。
私が嫌がっていたのを知っててやってたんだ―。
ドンドン怒りが込み上げてくる。
でも、私はあいつに何も言えない。
怒りと悔しさが融合していらだってくる。
今すぐ、狩人を連れてきたいよ。
狼なんか・・・狼なんか・・・
荒月なんか・・・
大嫌いだ!!