狼と赤ずきん。
「クスギは赤ずきんだね。」
「赤ずきん?」
私は3時間目の授業が終わった後、
すぐに咲に会いに行った。
ここは広々としている校庭。
桜の花びらが所々に散らばっていて、
綺麗だった。
4時間目はA・F組の合同体育。
どうして、隣の組通しでやらないのかと思ったけど、
これは神様が応援してくれるのだと思ったので、
あまり気にはしなかった。
「うん、クスギが赤ずきんで荒月が狼で流本が狩人で
・・・私はお婆ちゃんになっちゃうじゃん!」
「楽しんでる?」
私は不機嫌に聞いた。
咲は私を笑わせようとしているみたいだけど、
今はそんな気分にはなれない。
はぁ~、どっかに誰かさんのせいで
楽しい学校生活がどん底に落とされた気分だよ。
まっ、咲や流本がいたからマシだけど・・・。
「ゴメン、調子に乗ってた。
体育何やるんだろう?楽しみ。」
「え~?全然楽しみじゃないよ。
たぶん、球技みたいだよ?ねぇ、一緒に行動しよ?」
「OK!」
咲の笑顔を見てほっとした。