Strawberry & Chocolate
「けどなんでまた小梅が…?」
小梅は俺とリナと同じ頃に入門して共に技を磨いてきた。
リナは性に合わなかったのか、才能があんまりなかったのか…まぁ、入ってすぐにギブアップ宣言した。
小梅とは中2までは一緒に通ってたけど、中3になって生徒会長とか色々忙しくなったんで辞めたんだっけ。
高校でもてっきり生徒会とかそういう系やると思ってたけど、なんでまた道場に…?
「理由は話してくれんかったけどな。じゃが、瞳は一年前とは違った。…とても強い〝想い〟がこもっておった」
想い…か。
確かに小梅、昨日変だったけど、今日はちょっと様子が違ってたもんな。
なんか…鋭くなってたっていうか…。
上手く言葉にできねえけど。
「剣は力を込めて振るうのではない。力が強いから、体を鍛えたからといって強くなれるわけではない。
剣とは…それに込める〝想い〟じゃ。
その〝想い〟が強ければ強いほど、みなどこまででも強くなれる」
これが命清流剣術の教え。
師範が常日頃から言ってること。
剣に想いを込めろと。
無の剣はただ切り裂くだけだと。
昔は何言ってんのか分かんなかったけれど、今ならなんとなく分かる。
…まぁ、俺の想いが届く日はまだまだ先だろうけどな。
ハァ…。
「…その様子じゃと、まだリナに想いを伝えてないようじゃな」
「なっ!?なんでわかんだよ!?エスパーか!?」
「阿呆が。そんな遠い目をしてれば一目瞭然じゃ」
遠い目って…。
俺、そんな顔に出やすいタイプだったのか…?
「やれやれ…。この調子だと孫の顔を見るまでにはまだまだかかりそうじゃな」
孫って…飛躍させすぎだっつーの。
そもそも俺、師匠の息子じゃねーし。