Strawberry & Chocolate
「何すか?…月島先生?」
「あー実はね、校庭内に蜂の巣が見つかってね。今駆除するとこなんだ。刺されると危ないから早く校舎に戻った方がいいよ」
…その格好で言われても説得力ないんすけど。
まずソフトクリーム持ってるあんたが校舎に戻れよ。
「そうなんすか。大丈夫ッスよ。そこの道場に行くだけなんで。先生こそ早く戻った方がいいですよ。そんな甘い香り漂わせてたら俺より先生の方が危ないですよ」
「あ、ちょっと待って中村くん」
何だよ。
ハチ出るって注意しときながら呼び止めんの止めてくんない?
「まだ何かあるんすか?」
「君、確か中村さんと一緒の施設に住んでるんだよね?」
「そうですけど…」
「じゃあ…中村さんの記憶のこととかって何か知らないかな?」
リナに何か言ったのはコイツか…!
教師がリナの過去なんか探ってどうするつもりなんだ!?
「…先生だったんですか。リナに記憶のこと聞いたのは」
「え…?あー…まぁ…」
「言っときますけど、リナを傷つけたら教師であっても俺、容赦しませんから」
「傷つける気なんてないよ。…それに、何故君にそんなこと言われなくちゃならないんだい?」
「…リナは、俺の大切な人だから」
だから…傷つけたくない。
もう二度と――。
「…そんなクサいセリフ言う人、久々に見ましたよ」
笑うんじゃねぇ!!
何なんだよ、この教師は!!
お前が聞いてきたから答えたんだろうが!!
「先生…俺もいい加減怒りますよ!?」
「ごめんごめん。
…けどこっちにも諸々事情があってね。どうしても中村さんの過去が知りたいんだよ」
「何ですかその諸々の事情って?」
「それは…。…うーん。ちょっと中村くんには教えられないな」
はぁ!?
意味わかんねー!!
俺にリナのこと聞いてきたくせにその理由が教えられないって、んなことあるかよ!?