Strawberry & Chocolate
そんな顔すんなよ…。
俺の背に捕まって泣きじゃくるリナをなだめるようにさすってやる。
泣くなら俺の中だけにしろ。
って、リナに言えたらいいんだけどな。
へたれな自分が情けねぇや…。
けど今はそれよりも、リナに言わなくちゃいけねぇことがある。
リナが落ち着くのを見計らって俺は口を開いた。
「あのさ、リナ。
…俺たちはさ、ずっと逃げてきたろ?自分自身から。
でも…俺たち、進む時がきたのかもしれない。神様だっていつまで経っても進まない俺達を見兼ねてこんな試練を与えたんじゃないかって思うんだ。
もう…怖がって逃げ回る時間は終わったんだぞって。だからリナ」
「…何…?」
「一緒に記憶と…自分自身と向き合おう。一人じゃツラいからさ、二人で。自分の為に。街を…守る為に」
「一緒に…」
―「一緒に行こう」―
あの時と同じ言葉を。
雨の中、たった一人で泣いていた君。
それを見た瞬間、俺は手を伸ばさずにはいられなかった。