Strawberry & Chocolate
No.32 最後の使い手~楓side
「え…っ?綾小路さん、なんで返事して…!?」
俺の質問は彼女の耳には届かなかったらしい。
彼女は俺の手を引っ張って、言われた場所に一目散に駆けていく。
着いた場所は、ビルの建設予定地。
ちょうど昼休みの時間なのか、作業員は誰もいなかった。
いや、魔法使いたちが人払いしたあとなのか…。
「はぁ…っ。良かった。まだイーヴルは現れてないみたいですね」
イーヴルのことを、知ってる。
やっぱり彼女も…。
ドシーン!!
俺の後ろで大きな物音。
人が考え事してる最中にこんの化けモンどもは!!
空気読め!!
「楓くん!!動かないで下さい!!」
その声が届いたときには、綾小路さんは薙刀を手にし、俺よりも姿勢を低くして地面を駆けていた。
イーヴルの鋭い爪が俺に届く瞬間、綾小路さんは一気に地面から天へ薙刀を抜いた。
「命清流抜刀術其一·〝逆月〟!!」
ガキンッ!
綾小路さんの振るった刃は見事イーヴルの爪を切り砕いた。
『グギャア!!』
綾小路さんも〝Hope Lights〟の使い手なんだな…っ。
てゆーか、カッコよすぎるよ綾小路さん!!
なんだその技名は!!
超きまってるし!!
はっ!!
それより、俺は何やってんだっつーの!!
さっきからただ見とれてるだけじゃんっ!!
彼女にばっか戦わせるわけにはいかねぇ!!