Strawberry & Chocolate
俺らが生まれ育ったヴァイズ国。
ヴァイズ国は長老院が治めているが、それは形だけ。
実質の指揮をとっているのは、その下にある4つの王家。
北方(ノーズ)。
南方(サウズ)。
西方(ウェルズ)。
そして東方(イーズ)王族。
その一角を担う東方王族·望月家。
俺は、その東方王族·望月家に仕える騎士の家柄に生まれた。
仕えると言っても今や望月家には一人の少女しかいない。
それゆえに、落ちぶれ王族とまで言われている。
たった14歳の少女が背負うには重すぎる使命…。
だが望月の血を引く者は、その少女の他にもう一人だけいる。
今、俺の目の前にいる〝大魔女〟―。
「…あなたの気持ちは分かるけれど。私はもう〝望月〟ではないわ」
「ですが、もう一度〝望月〟を背負うことはできるでしょう!?」
「いえ、私は…」
「私の妻に何かご用でも?先生」
〝大魔女〟が言いかけたと同時に話に割り込んできたのは。
綾小路財閥の現会長様。
なんつータイミングで現れてんだよ…。
少しは空気読め。
とりあえず、適当にごまかしてやり過ごすか…。
「いやー。あまりにも奥方がキレイだったので散歩にでも誘ってみただけですよ」
「冗談でもぶん殴っぞテメェ…!!」
怖っ!?
冗談が通じない!?