Strawberry & Chocolate
声のした方向には、車椅子に乗った老人の姿があった。
いつの間に私たちの隣に…?
「苺はね、幼い頃に両親が亡くなって、私が引き取ったんだ」
「なるほど…。それでこの写真にあなたが写ってるってことか…」
「あの…失礼ですが…どちら様でしょうか?」
「あぁ。すまない。自己紹介が遅れたね。私はここの館長をしている一(ハジメ)といいます。君たちが楽しそうに話しているのを見てね。つい声をかけてしまったよ」
楽しそうに…て、つまり私たち騒いでたってことよね?
こういうところでは静かに鑑賞するのがマナーなのに…!
「申し訳ございませんっ!!ご迷惑をおかけして…っ!」
「いやいや。迷惑だなんて。それにもう閉館時間だしね」
時計を見るともう6時を指していた。
「本当にすみませんっ!!直ぐに出て…っ!!」
「いやいやいや。いいっていいって。気の済むまで見ていきなさい。私も久々に若い子と話ができて嬉しいし」
…なんとも陽気な館長さんだった。