Strawberry & Chocolate
No.42 戸惑う心~小梅side
ゴォォン…っ!!
さっきまでとは比べものにならない風の音と共に、私の体は数メートル先に投げ出された。
必死でガードしようと構えた左手からはおびただしい出血が。
切り裂かれた…というよりは。
·······
引きちぎられた。
「ぐ…っ!!」
寝るな私!!
立つんだっ!!
痛みをこらえて前を向く。
カメリアさんは全身に〝風〟を纏っていた。
まるで竜巻のようだ。
「なぜ戸惑った?」
「そ…れは…っ」
「俺が人の形をしていたからか?人の形だろうが獣の形だろうがイーヴルはイーヴル。貴様たちはそれを倒してきたのでは?」
そうだ。
その通り。
イーヴルは人を襲うから。
だから〝Hope Lights〟に選ばれた私たちが。
··
私たちが退治してきた。
それなのに、なぜ私はためらったの?
今までイーヴルを倒してきたクセに。
なぜカメリアさんを斬るのを戸惑ったの?
「フン…。その〝甘さ〟が命取りだとなぜわからん。人間はどいつもこいつも〝同じ〟だな」
その言葉と共にカメリアさんは姿を消した。
一体どこへ…!?
「一体どこを見てる?」
ガギィン!!
風を纏ったカメリアさんの速さはまさにそれだった。
一瞬のうちに背後をとられた。
風の力を加えた拳はとてつもなく重く…!
う、受けきれな…!?