Strawberry & Chocolate
ぐ…っ!!
同じ手を何度も喰らうかよ!!
制服を翻し、短剣の軌道をそらす。
両足も使い、一つ一つ短剣を飛ばしていく。
もちろんこの数全部防げるわけねぇ。
急所だけをガードしてそれ以外は捨て身で短剣をなぎ払った。
ガキィッ!
「ケンカで…俺が負けるかよっ!!」
「はっ?ケンカァ?何寝ぼけたこと言ってんだよ」
ビュッ!
背後から気配を感じ、体を伏せる。
さっきと同じ手…。
薙払った短剣が俺の背後をとる。
ち…少しかすったか…っ。
けど…。
「三度も同じ手をくらうかよ!!」
「ヒーローさんよ。これはケンカじゃなくて、正真正銘。殺し合いなんだよ」
「な…!?」
…気配は背後だけじゃなかった。
ヤツの短剣はヤツ自身の魔力とやらで動いている。
薙払うだけじゃダメだった。
粉々に粉砕させなきゃ何度でも俺を狙ってくるってわけ…か。
んなもん反則だろーが。
ケンカにんな魔力なんざ……。
あぁ、そうか。
ケンカじゃなくて…〝殺し合い〟だった。
俺の敗因はそこか。
ケンカっつー甘い考えを捨てきれなかったせい。
頭上から真っ逆さまに落ちてくる無数の短剣を、俺は防ぎようがなかった。