Strawberry & Chocolate
「創造って物を作るとかの創造?」
「そうだよ」
「でもそんなの、他の魔法使いたちでもできる人たくさんいるでしょ?」
「材料があればね。中村さん、等価交換って知ってる?」
「等価交換?」
「ええと、等価交換というのはつまり、何かを得る為にはそれに見合うだけのものが必要ってことです。
何もないところから〝物〟は生まれないでしょう?」
「なるほど!火のないところに煙はたたないってことだね!」
「…えぇまぁ、そういうことにしておきましょうか」
「けれど、〝創造壞利力〟はそれがない」
「等価交換がない…?」
「〝無〟から〝有〟を生み出すことが出来るんだ。それが究極魔法と云われる由縁。そして、その魔力を有していた人物はたった3人だけ」
「3人…?」
「そう。一番始めに〝創造壞利力〟を持っていた人物は、約1800年前、その力で俺たちの国、〝ヴァイズ〟を創り上げた」
「ヴァイズを…!?」
「だからまぁ、ヴァイズは言わば人工的に創られた国…なんだ」
話が大きすぎて全然想像できない。
国を創るって…。
「うんそうだよね。想像なんて出来ないよね。でも次は君たちに最も関係のある話だ」
「私たちに最も…?」
「綾小路さんや中村くん、中村さんはこの街で育ってきたんだし、知っているよね?桜月 苺のことは」
「え、ええ」
桜月 苺。
この地域に伝えられる絵本に出てくる少女。
絶望の中、希望を歌い続けた歌姫。
そしてその容姿はリナにそっくりだった…。
「まさか、その桜月 苺さんが…」
「そのまさかさ。持っていたんだ彼女は。〝創造壞利力〟を。そして、その力で〝Hope Lights〟を創り出した」
え…?
桜月 苺さんが、この〝Hope Lights〟を創り出した!?