Strawberry & Chocolate
No.54 東方区域~リナside
あたしたちはとある民家…否、城に足を踏み入れたのと同時に聞こえてきたのは甲高い少女の声。
「あーもう!!だからそれは今処理してるところだっていってんでしょ!?
こっちだって出来るなら国民一人一人に仕事あげたいわよ!!んでも任務完了してない誰かサンのせいで受けるにも受けられないんだっつーの!!
…はぁ!?連絡!?取ってるわよ!!でも向こうから…――!!」
たくさんの映像画面みたいなものにどなり散らしている一人の少女…の姿は高くつまれた書類やら何やらのせいで見ることはできなかった。
「マリィ、俺だよ。ちょっといいかな?」
「…緑ね。話は聞いてるわ。いいわよ許可する。だからさっさと出てって。あたし忙しいんだから」
マリィと呼ばれた見えない少女がそう言うと、あたしたちの右手に何やら模様が浮かび上がった。
「え?何これ?」
「許可証みたいなもんだよ。さ、行こう。真中区域へは城の庭から転移魔法で行くんだ」
「え?こんな簡単に許可もらえるもんなの?それにこのままあの子スルーしていいの?一応この街のトップなんでしょ?挨拶とか…!」
「彼女はいつもこんな感じだから。気にしなくていいんだよ中村さん」
「気にしなくていいって言われても…!!」
「…ちょっと待ちなさい緑」
あたしの声が届いたのか、高くつまれた書類の中から一人の少女が姿を現した。