Strawberry & Chocolate
┗No.55.1 不信感~月島side
「なんじゃい緑。さっきから黙りこくって。何か疑問でもあるのかの?」
「…ありますよ。あるに決まってるじゃないですか」
中村さんと楓くんの様子を見ながら、俺は最長老に疑問をぶつけた。
だって。
中村さんがどれだけ練習していたのかは知ってる。
だけど一切魔力の片鱗も見せなかったのに…。
なのに、こんなあっさりと。
なんの契機もなく…魔法が使えるだなんて…!!
「そりゃーそうじゃろ。
··
ここには彼女がいないからの」
「彼…女…!?」
―「離れなければならないのは場所ではないわ。彼らから…〝小梅〟から一度離れなければ、リナは魔法を使えない」―
まさか、本当に…っ!?
「〝大魔女〟の言ってたことは全て本当だったんですか…!?」
「〝大魔女〟が何を言ったのかわからんが…。〝創造壊利力〟の制御が彼女たちへの任務じゃったからな。〝創造壊利力〟は文字通り、究極の創造魔法。〝大魔女〟が持つ〝天空超魔法〟(ルーヴェ)でも太刀打ち出来ない程の力。けれども少しは抵抗できる」
〝大魔女〟の任務が…〝創造壊利力〟の制御!?
でも、それが本当なのだとしたら…国に帰れない理由もわかる。
すぐ側に〝創造壊利力〟を有する中村さんがいたから…。
だけど、それじゃあつじつまが合わない。
中村さんが生まれたのは約15年前の話。
なのになぜ〝大魔女〟は何十年も前から帰ってきてないんだ?
桜月 苺だって生まれてきたのは何十年前だし、実際に生きたのは15年。
桜月 苺が亡くなって、中村さんが生まれるまでの間、〝大魔女〟は一体どこで何を…!?