Strawberry & Chocolate
「…最後に一つだけ聞いても?」
「なんじゃ?」
「綾小路さんは、どんな力を持って生まれてきたんですか?」
「小梅の力か…。
·····
それはの、触れた魔力を無効にする〝不可侵領域〟(ゼロ)という力じゃ。
触れた魔力がどんなに巨大でも小梅は〝無〟にしてしまう。小梅は昔、リナの〝創造壊利力〟に触れた。じゃから彼女の周りではリナは魔法を使えない」
「それじゃあ…中村さんは魔法を会得しても綾小路さんたちと共に戦うことができないってことですか!?中村さんが頑張っているのは全て、みんなと共に戦いたいという想いからなのに…!」
「いや…。小梅が自身の力に気づきコントロールできれば共に戦うことは可能じゃよ」
つまり、綾小路さんが気づかなければ、魔法を会得したとしても中村さんはあの街では戦えないってことか。
正確に言うなら綾小路さんの側ではだけど。
でも、実際は不可能に近いじゃないか。
綾小路さんは、自分が魔力を持ってることも、母親が高名な魔女という事実さえも知らないのに…。
力を自覚してコントロールすることなんて出来るわけがない…!!
「…怒ってるじゃろ。我々のしてきた行為に」
「怒ってるなんてもんじゃありませんよ…!そんな感情なんか、とうに越えている。何の為に、誰の為に、ここまで身勝手なことができるんですか!?」
「全ては…未来の為…なんじゃよ」
未来の為…!?
そんな不確定なものの為に、〝大魔女〟は自分の子供に自身の任務を押し付けたと!?
そんなものの為に〝命〟を、我が子を利用するのか!?
「…そうじゃ。わしらはその為にこの約70年生きてきた。わしらが憎いのならわしを攻撃するなり何なりすればよい。抵抗はせん。
それだけのことをしてきたのじゃから…」
「そんなことしてどうなるんです?俺はもう受け入れられる容量が大きすぎて怒りどころじゃない…っ!」