Strawberry & Chocolate
その怪物から逃げようと走る人々に対して、私はその場に突っ立っていた。
私…何してるの…?
何で…!?
どうして逃げようとしないの…!?
ここにいれば危険だと分かってるのに。
自分の意志に反して全く動こうとしない足。
どんどん距離を縮めてくる怪物。
ヤバい!!
は…早く逃げなきゃっ!!
だけど怪物は何故か、私のほんの数十メートル先でピタリと止まった。
えっ…!?
さっきまで手当たり次第にその鋭い爪を振りかざして、人々を襲っていたのに。
今度は頭の部分を左右に動かしている。
まるで…何かを探しているみたいな…――。
って、のんきに様子を観察してる場合じゃないっ!!
この動こうとしない足をどうにかして、一刻も早くここから逃げなくちゃ…っ!!