Strawberry & Chocolate

小梅は変わったやつだ。



生まれも育ちも俺とは比べ物にならないほどいい環境なのに、変なとこ不真面目っつーか…。



堂々と職員室から屋上の鍵を毎回捕ってくるやつなんて小梅以外に出来るやつがいたらぜひこの目で見てみたいもんだ。






「2日連続で歌いに来るなんて初めてじゃねえか?そんなに高校入学でストレスたまってんのかよ?」






小梅が屋上で歌う理由は、自分のストレス解消のため。



しかも自作の。




初めて小梅と出会った時も屋上で歌を歌っていた。



歌うわけを俺に恥ずかしそうに話した時、フツーのやつなら多分、コイツ頭おかしいんじゃねぇのとか言って引いちまうんだろうけど…。




俺は何故か小梅の歌に聞き惚れていた。




小梅はフツーに歌は上手いと思う。




でも、飛び抜けてとか天使のような歌声だとかそういうレベルではなくて。




カラオケに行ったら、ダチとかにちょっと「歌が上手いね」って注目される程度……だと思う。




まァ俺、実際カラオケとか行ったことねぇからわからんけど。







それでも。



俺は小梅の歌に惹かれた。




すげー肩書きを持つ小梅の歌声は、あまりにも…切なくて寂しそうに聴こえた。




きっと、普段表に出すことのない感情を歌にして吐き出してるせいなんだろうな。






その歌声は小梅そのものなんだ。

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