Strawberry & Chocolate
「リナちゃーん!?夕御飯食べる前に子どもたち、お風呂に入れてくれるー!?」
夕飯の支度を終え、2階の自室でファッション雑誌を読んでいたら、園長の叫び声が聞こえた。
お風呂ね…。
そういえば、最近ボイラーの調子がおかしいんだよねー。
園長に喋んなきゃな。
「はいはーい!!」
返事をして部屋を出た。
そのまま階段を下り、子どもたちが集まる食堂兼広間へ。
ここはあたしが生活する児童養護施設·中村園。
言うなれば孤児院。
あたしはここにきて9年。
今年で10年目。
「あれ?園長、みんなは外?」
広間はものの見事に空っぽだった。
てかまたおもちゃ散らかしっぱなしにしてー!
ゲームもテレビに繋いだまんまだし。
お風呂の前に後片付けだなこりゃ。
「そうよーん。天気がいいからね、みんな外行っちゃったわよ。…それより今日ソラちゃん遅いの?」
台所から園長が顔を覗かせた。
言っとくけど…園長、性別は♂。
見ての通りそっちの毛がある。
なにせ、小梅パパにゾッコンラブだし。
小梅ママには嫉妬心剥き出しだし。
「リナちゃん…聞いてる?」
「あぁ、うん、聞いてるよ。ソラなら今日から部活やってくるって。そろそろ帰ってくるんじゃない?」
「そうなの…。椛ちゃんもまた生徒会長になったとかで最近遅いから、ママ心配しちゃって」
いや、あんたママじゃなくてパパでしょ。
あたしはそんな園長をシカトして(つっこんだらつっこんだでウザくなるし)、みんなが遊ぶ外へと向かった。